ピークスネットワーク

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理事長よりご挨拶

クロスジョブ神戸からピークスネットワークへ


 平成24年に設立されたNPO法人クロスジョブ神戸は平成29年9月1日をもって、NPO法人ピークスネットワークに生まれかわりました。

 クロスジョブグループからの脱退を決定したからです。このグループは就労移行支援事業の可能性を実証するため、それだけを取り組むことを約束に組まれたグループですが、大阪や東京に比べ社会資源がまだまだ不足する兵庫の地において、地域ニーズに取組める法人でありたいと考え、今後、必要な事業を展開し地域を耕していける法人を目指した選択をしたということです。このことに伴い、クロスジョブKOBE及びクロスジョブKOBEⅡはそれぞれPEAKS六甲、PEAKS神戸と事業所名も変更になりました。

1. 名称の意味

ピークスは「山頂、頂点」などの意。
①凸凹を山谷として、利用される方それぞれの秀でた強み(山)を大切にしたい。
②利用者それぞれが目標(山頂)に向けて、チャレンジできる場でありたい。
③多様な職員もまたそれぞれの良さ(山)を生かして支援を行う。
「山」はひとりひとり異なるため、複数形。運営する就労移行支援事業所にこの名称をつけ、法人はこの思いをつなぐという意味でピークスネットワークとしました。

2. マークの意味

 マークのグリーンは支援する職員や協力いただく企業など、さわやかで快適な環境。名称の由来である山々のピンクは強みを生かして就労を目指す利用者や、支援する職員の熱い心の色です。

 山々のつながりは、利用者や職員の心のつながりを大切にする法人であることを表しています。また、PEAKSのAをアレンジ。山頂へ至る道を表現しました。


法人設立の経緯


 私は、県立総合リハビリテーションセンターの職業リハ部門の責任者をしていた関係上、発達障害者支援センターの運営協議会委員や県、国(労働局)が主催する様々な会議の委員を務めてきました。
 その中で、近年は発達障害のある人の就労支援がテーマになることが増えてきました。どの会議でも、量的増大、質的深化が顕著で深刻な報告がなされるので、問題の共有化は図られます。しかし、肝心の解決策が出ずにもどかしさだけが残っていました。
 でも、私は解決策はそれ程難しいことではない、問題解決の糸口として就労支援の理念が有効に作用すると思っていました。

 現代社会の最大の社会問題は雇用問題だと言われるように働けないということは、単に経済的な苦しさだけではなく、社会とのつながりが極端に希薄になり、社会的孤立が生み出され、ソーシャルイクスクルージョン(社会的排除)がその結果としてもたらされます。
 このことは、働く希望や力を持っていても安定的に働く機会に恵まれない障害のある人たちに一層厳しくあらわれます。まさにこの様な状況に抗して「人は一定の年齢になったら働くことが当たり前」の社会を目指したのが障害者自立支援法であり、その柱の一つに就労支援の抜本的改革があげられました。
 施設を機能分化して就労支援施設の強化を図り、障害のある人の就労は大きく前進しました。しかし、発達障害のある人の就労問題はその障害特性の見えづらさから、まだスタートの途についた状況であります。
 知的障害や精神障害のある人たちと比べ自分の障害と向き合う時期がずっと遅れてくる人たちであり、大学まで「普通」に行き就活に失敗した、何とか就職はしたが職場の中で求められるコミュニケーションスキルの前に早い段階で離職を余儀なくされた人たちです。このような人たちが勇気を振り絞り、発達障害者支援センター等の相談窓口を訪ね、確定診断を受け、就職に向けて訓練を受けようと、就労移行支援事業所に見学に行くが、その多くは早い段階から障害とともに生きてきた知的障害の人たちを主な支援対象としています。

 また、施設の立地は必ずしも良くなく交通の便が悪く、障害のある人たちだけがいる建物で、内職作業をしており、これまで「普通」に暮らしてきた彼らが溶け込むことは難しく、相談機関と見学に行っても拒否される場合がほとんどで、また、先の見えない在宅生活を延長してしまっています。こうした現状を鑑みれば、今、何が必要なのかは極めて明確です。相談から具体の支援につながる場所づくりです。障害者自立支援法の中で就労支援施設が充実してきたのは事実ですが、今、問題になっている人たちは、障害をストレートに受け入れる途上段階であり、既存の障害者施設には馴染まないのです。従って、従来の福祉の枠組みで対応するのではなく、ケアマネジメントで言うところの「無いものは創り出す」という発想を持ち、その人たちが明確な目的、目標を持って訓練、支援が受けられる場、また、雇用促進に向けた企業との協働ができる場を模索してきました。

 「特定非営利活動法人クロスジョブ神戸」を設立し、平成24年5月に定員20名の発達障害のある人たちを主たる利用対象とした、就労移行支援事業所クロスジョブKOBEをJR六甲道駅前に開設しました。2年目には既に定員を超える利用待機者を抱え、解決策は次の施設を開設するより他に方法はない状況になりました。そこで、平成26年4月にクロスジョブKOBEⅡをJR神戸駅前に開設しました。

施設運営を行っての感想

 当施設を見学に訪れる特別支援学校の先生方は「ここは障害者のエリート集団ですね」と一様に口を揃えられます。確かに外見上の障害が見えないだけに、そのように映るかもしれません。事実、少しの配慮や励ましで極めて高い作業能力を発揮されますが何らかの配慮が不可欠なことも事実です。一般的にエリートとは三角形の先の方の一握りを指す言葉ですが、発達障害のある人は逆三角形を想定するとよくわかります。より専門的な支援や治療を要する人もいるだろうが、大半の人は少しの配慮と後押しで十分労働能力を発揮できます。しかし、逆三角形であるから不安定であり、ともに歩む支援機関の存在は不可欠だと思っています。

 また、企業も変わっていきます。障害者雇用の契機は今も昔も変わらず、ハローワークによる雇用率達成指導ですが、最近はそうではない雇用モデルがみられるようになってきました。障害者雇用は法令遵守にとどまらないもっと大きな経営モデルにつながる可能性を秘めています。日本文化の良さは人を思いやる心が根底にあったと言われていましたが、アメリカ文化の押し寄せの中で希薄化してきています。それが、障害者雇用をすることによって化学反応がおこり取り戻せたという事例は多いのです。例えば、挨拶する習慣が取り戻せたり、障害のある人の苦手さに対する様々な工夫は、結果的には他の従業員の仕事の効率も上がったり、ホウレンソウの徹底などです。とりわけ発達障害のある人は抽象的な言葉が苦手で経験に頼る教示では分かりづらい場合が多いのですが、職場実習受入を契機に誰もがわかりやすい作業マニュアルづくり取り組み、当たり前のように行われていた業務を再点検することによって、効率的になり体制強化に成功している企業が出てきています。障害のある人の弱さを企業活動の強みに転換しているのです。

おわりに

 姉を刺殺したアスペルガー症候群の男性被告に対し、大阪地裁であった裁判員裁判で、求刑を上回る判決が言い渡されました。その理由に発達障害に対する社会資源の不足があげられています。確かにこれまでの社会福祉の枠組みでは彼らにマッチし難く解決策にはなりえないが、ピークスネットワークのような実践が彼らを変え、社会を変えていく礎になるのではないかという確信めいたものを持ち始めています。

 孤立せず社会で生きていくには、働ける場所があることが何より大事、お金や障害の有無が問題なのではなく、仕事を通じた人とのつながりをこそ重視すべきなのです。発達障害の特徴の一つに想像力の欠如があげられますが、果たして想像力がないのは誰か。むしろ、発達障害の特性が社会全体に失ったつながりを取り戻す最良のツールになるのではないかと思える今日この頃です。


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