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皆様ごきげんよう。本日の自閉症文学講座を始めたいと思います。
Lektion12:一本書いてみた、さて次はどうしよう?
前回で、物語を一本書き終えるという決断をしたあなた。それが何万文字かは当方にはわかりませんが、十万文字から二十万文字の間だったら好機です、応募してしまいましょう。最近の新人賞は以前とは違い、商業化していない原稿ならばたとえそれが他に投稿したものであっても受け付けてくれる場合があります。ましてやあなたのさらっぴんの原稿ならば、大丈夫だと言ってもいいと思います。
次に、七万文字程度に収まった場合。一冊作るには物足りない分量ですが、増補改訂を行えば十万文字は手が届くと思います。一本書くのに疲れ切ったのならば、少し休んでからでも大丈夫でしょう。
次に、三万文字未満だった場合。ある意味好機です、短編集は大体そんな分量であることが多く、ラジオドラマなどにも向くでしょう。いっそのこと多少削ってショートショートに応募するという手もあります。
問題は、五万文字前後になった場合。これが新人賞などに応募する前提で書いた場合一番扱いに困るわけですが、逆に考えましょう。その登場人物には主役以外に敵役、脇役がいますよね?その人の視点で、短いのを一本書いてしまいましょう。それでうまくいけば合わせ技で十万文字に達したらしめたもの、そうでなくとも、一度書いた物語を使いまわす事が出来れば、プロットを考える手間を省いてスキルアップができます。
つまるところ、実は分量というものはさして問題ではありません。無論基準となる分量というものはありますが、やろうと思えば人間何十万文字も物語は書けますし、逆に縮めて数千文字でも書けてしまうものです。では、なぜ人は物語を書こうとするのか。
Lektion13:書く理由
あなたは、なぜ物語を書こうと思いましたか?重要なのは動機ではなく、今もその心は保てているかということです。富と名声でも歴史に名を刻むためでも、なんだってかまいません。つまりは、その動機を保ててているということは、その動機で物語を紡ぐ素質があるということです。逆に一本書いて満足した場合、書く途中で別の手段で目的を解決できてしまった場合、そういった場合は、長くそれを続けるのには動機不足か、あるいは根本的に向いていないのか、いろいろ考えられますが、それではなぜ初期動機を失ったのか。それは物語を紡ぐという行為は本質的には自己表現や自己理解ではなく、自己肯定だと思うのです。無論、編集さんに唆されてとか別の理由もあるかもしれませんが、そもそもではなぜ作家を始めたのか。その物語を読者に見せようと思ったのか。作家とは、夢を見る、夢を見せる職業の一つです。夢とは幻にすぎませんが、より強い幻は肯定感として確固とした支えになります。その支えを作る工程としての作家業ならば、確固たる肯定感を得られたら動機としては減少するものです。よく、読みたい物語がないから書く、という人がいます。合ってると思います。私には読みたい物語があるので別の動機になりますが、根本的に物語を紡ぐ行為は、自己肯定のための過程だと言えるでしょう。
皆様、お元気でしょうか。こちらは腰が痛くて長い事立ってはいられません。とはいえ、座ってする作業には支障はないので、こうやって書いてはいます。今回もよろしくお願いします。
Lektion11:物語の終わらせ方
今回は、「物語の終わらせ方」です。いくら好きな世界でも、終わりは必ず来ます。人が死ぬ以上、死ぬ前までには終わらせて読者を納得させる必要がありますよね?たとえ最終回が来る気配のない日常ものといえども、終わりを必ず、作者は用意しています。
と、いうわけで。皆様にとってはまだ先の話ではございますが、物語をどう終わらせるか、今回はソフトランディングを前提で話したいと思います。とはいえ、分量が決まってなければ終わらせるのは簡単な話です。好きなだけ書いて、プロットが尽きたら結末を用意すればいいのです。問題は、分量が決まっている場合。たいていの新人賞は、既定ページ設定で80~130ページということになっています。これは文庫本の宿命とでもいうべきものでしょうが、実際、十万文字も読んでしまったら一息つきたくなるものです。ましてや、一気に三巻分程度読んだ場合は、はっきり言って読者は疲れています。一刻も早く、とまではいいませんが解放してさしあげる必要があるでしょう。では、その解放の仕方ですが。……一番やってはいけないのは、打ち切りです。原作に追いついてしまったとかならばまだ仕方ないのですが、原作がそれをやってはいけません。次に重要なのは、たとえ技法としてありきたりで面白くなくても、読者が好ましいと判断すると予想できる結末を用意しましょう。つまりは、なぜ大団円が好まれるかといえば、「めでたしめでたし」は物語の、つまりは読者が好ましい感情に浸り余韻を残して行動するための活力を補給する、という役割を果たすための必須事項だからです。物語でまでヘイトやルサンチマンを貯めてしまう行為は、よほどの技量を有する作家でもまずヒットさせるのは難しいと判断してください。そして、物語を終結させるための技術、それをどうやって磨くか。一本書き上げてしまいましょう。一本書き上げて完結としてしまえば、次が見えてきます。運が良ければ、拾ってくれるかもしれませんし。というわけで、一度物語を終わらせてみましょう。
では、それをどうやって終わらせるのか?紙面が足りないので次回、と行きたいところですが、それでは羊頭狗肉なのでここで証明したいと思います。
方法その1.プロットをきちんと練る
方法その2.予想外の長期化を避け、未練があっても完結させる覚悟をもつ
方法その3.いっそのこと、最終回をあらかじめ書いておく
方法その4.逆に予想外の短文で終わってしまった場合、よく見直して増補改訂する
方法その5.最後に、一度何日か放置しておいて、読者の視点から物語を見る
とまあ、こんな感じで、一度物語を終わらせてみましょう。作者も読者も納得できる終わり方を提示できれば、その物語は大成功なはずですから。
皆様こんにちは。そろそろ皆様も手元の原稿が5000字程度は書けているころでしょうか。今週の講座を始めたいと思います。
Lektion9: 十万文字への道、そのに。
前回、十万文字は一年以内で書ける、と書きましたが、ではなぜ十万文字をひとつの目標とした方がいいのか。それも本を出すのならば、ということも書きました。では、なぜ書籍として出したいのか。それは最初の方に書きましたね、文学のバリアフリー化です。
と、いうわけで。プロットをきちんと組んで、1ヶ月にコンスタントに1万字書けていれば、十万文字は難しくありません。では問題なのは、1ヶ月で1万字も書くのは難しいという人。自閉症は、得意分野と不得意分野が極端です。かくいう私も、言語野はおそらく優れているのでしょうが、非言語的コミュニケーションや絵画などの描写は極めて難しい部類に入ります。そういう人でも、おそらく時間をかければ十万文字は可能だと私は思います。なぜならば、文字は特に昨今、キーボードをたたけばきちんと入力されます、しかも読める文字で。つまりは、字が汚いから嫌だ、という人はここでクリアーです。
では次、問題の「言語野が不得意分野に当たる人」。正直なところ、わたしは医者ではないのでそのあたりはよくわかりませんし、そういう人は得意分野で勝負すべきだといいたいのですが、それでも書きたいという気持ちを止める権利はわたしにはありません。なので、もし主治医がいたら相談してみましょう。主治医がいなければ探しましょう。こと、自閉症対応の医者というものは医術のスペシャリストというよりは心理学的な、つまりは言語野をはじめとした多分野のゼネラリストである場合が多いです。なので、そういった、サポートチームを作ってから、書いてみましょう。
Lektion10: 十万文字への道、そのさん。
さて、いよいよ十万文字が見える、というのはどういったレベルで見えてくるものでしょうか。これは個人の意見なのですが、プロットが半分程度消化しきった時、単純計算で五万文字編めていればもちろん、この段階で三万文字だったとしてもカサマシを繰り返せば案外一万文字程度は増えてくれるものです。問題は、二万文字を切ってしまった場合。そういう場合はプロットを練り直すのではなく、いっそのことそのペースでプロットを使い切ってしまい、短編的な分野に挑戦してみましょう。皆様お忘れかもしれませんが、この十万文字への道というものは十万文字が書籍化への近道であるから十万文字を目指しましょう、ということであり、逆に言えば表現したいだけならば何万文字でも、あるいは何千文字でも問題はないのです。とはいえ、まとまった短編でも、たいていは一万文字以内とか三万文字以内という規定があり、既定の八割から九割は埋める必要がございますが。
番外編:当講座の今後の予定
紙面が少なくなりましたが、今後の予定として。基本的に年が暮れるまでには完結する予定でございます。あんまり引き出しも多くないですし。では次回、また会いましょう。
そろそろ、書いている今現在でも酷暑から猛暑へと気温が減っている今日この頃。皆様はこれが掲載されている秋手前にはいかがお過ごしでしょうか。
さて、本日の講座は以下のようになっております。
Lektion7:書き溜めの是非
さて、これを掲載するころにはそろそろ皆様も数千字程度は書けているものとして前提を進めたいと思います。これ自体はそんなに難しいことではありません。このブログ講座が1回につき1500字前後だと仮定すれば、せいぜいブログ2回分です。極論、1日あれば書けます。問題は前回のように、調子の悪い日でも数千字書く必要性が出てきた場合。これが厄介なもので、調子のいい日は10000字書ける人でも、調子の悪いときには400字書くのが精いっぱい、なんてこともあります。なので、書き溜めという行為があるのです。書き溜めについては賛否両論ありますが、わたしは基本的に賛の立場です。まず、書き溜めをおこなっておくと余裕が出てきます。次に、書き溜めをおこなうことで手元の展開を見返して公開するまでに添削改訂ができます。否の立場も一応は理解しています。時局に対応しづらいということでしょう。確かにその通りです。しかし、こと自閉症文学においてはこの書き溜めという行為は未来予測という本来難しい行為を行うための訓練になるという意味では、むしろ書き溜めは積極的に行っていくことをお勧めいたします。
ひとまず、目標としては1月に20000字を書き溜めてみましょう。案ずることはありません。1か月に土日は少なくとも8日、ほかにも時間を作っておいて調子のいい日にまとめて書いておけば、20000字は案外書けるものです。20000字書ければしめたもの、文庫本一冊の目標文字数である100000字にたどり着くまでにはそれを五回、繰り返せばいいだけです。ね、簡単でしょう?
Lektion8:十万文字への道、そのいち。
この前、本を一冊出すためには100000字という物量が必要だと書きました。当たり前ですが、書を刊行する場合、薄くても80ページはあります。1ページ1200字だとすれば、96000字。無論、実際は改行やページの文字数があるので若干ぶれますが、そのぶれをもってしても100000字あればどうにかなるのです。では、いったい100000字とはどれくらいの時間があれば書けるのか。知人はだいたい400000文字の文章を三年かけて書きました。逆に言えば、1年あれば100000字は、コンスタントに書けていれば実は書けているのです。当たり前ですよね、漫画や動画と違って文章はキーボードをたたくだけで今現在の技術力をもってすれば書けるのですから。無論、肉筆となるとまた難度は跳ね上がりますが。
と、いうわけで。次回からは十万文字への道と題してしばらくは文章を長く書き続けるためのコツを披露したいと思います。
それでは皆様、Auf Wieder-Sehen!!
これが掲載される頃には、涼しくなっていればいいのですが・・・。ああ、こんにちは。本日も当講座をご利用いただきありがとうございます。さて、第3回にもなってくるとそろそろ技術的なことにも視点を向けたいと思います。前回はプロットを書くところまでは終えましたか。とはいえ、てにをはを正しく、とか役不足や確信犯の本来の意味は、とかの辞書的なことをいうつもりはありません。それこそ、プロでも間違えることもあるのですから。
と、いうわけで今回は、「調子の立て直し方」について書いていきたいと思います。
Lektion5:調子の悪い時
誰しも、調子の悪い時というのはあります。当たり前ですが、人間は感情の動物である以上、どうしても気が乗らない日というのがあるでしょう。そういう時は休んでしまいましょう、というわけにもいかない場合。どうやって立て直すか。これはその人次第といっても過言ではなく、私なんかはこうやって文章を創造していると自然と持ち直すのですが、皆様がそうとは限りません。というか、そんなのはレアケースでしょう。というわけで、今回は「調子の立て直し方」について考えます。
まず、調子の悪い時には無理をしてはいけません。調子の悪い時に無理をするぐらいならば、調子のいい時に無理をしましょう。なぜならば、調子の悪い日の無理はいつもの日や調子のいい日の力を出せないから調子が悪いのであり、それだったら最低限のことだけして、あとは休みましょう。ではその「最低限のこと」もできない場合。それを今回は考えます。
「最低限のこと」。人によってそれはそれぞれでしょうが、それすらもやれるかどうか難しい状況。そういった時には、先に好きなことをしてしまいましょう。それで、調子が上がったらその「最低限のこと」に挑戦しましょう。後は、薬が処方されてしたらそれを飲んで、調子が上がる日まで休んでしまいましょう。それが一番の解決方法です。一見遠回りに見えますが、急がば回れ。調子が悪い時に無理をして持ち崩すよりも調子がいい時まで待って行動したほうが結果的にいい結果を出せます。逃げるべきときには逃げる、それこそが勝利のコツです。第一、逃げるという行動は恥ではなく、本来勇気のいることなのですから。
Lektion6:文章を書くという行動の維持の仕方
紙面は残り少なくなってきましたが、続けます。前回、プロットを書いて、それをもとにまず二千文字程度書いてみよう、という提案をいたしました。では、それを一年間続けるにはどうすればいいか。逆に聞きましょう、どうすればいいと思います?宿題にする気はありませんので、私個人の考えを述べましょう。〆切を作りましょう。特に最初の方は新しいことを習慣化するので非常に難しいと思います。〆切を作るのが難しい人は定期的に会う人に見せましょう。そしたら、その人が待ってくれるということを動機に、書いてみましょう。
きっと、いつの間にかきちんとした作品ができているはずです。
次回こそ、きちんとした技術論を話したいですね。それではまたお会いしましょう。
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